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先生。
お疲れ様です。
ただいま戻りました。
景都(けいと)ですよ。


今ですか?
……16時半です。
頑張ってください! あと少しの辛抱です。
22時に間に合えば、いいんですよ……ね?

はい。あと5時間半……5時間半です……。
いけそうですか?
あ『厳しい』……。
『でもやるしかない』……。
そうですよね。
が、頑張ってください!


はい。大丈夫です。
頂戴した確定申告の封筒は、
先ほど郵便局へ出してきましたよ。

領収証は帳簿につけて、緑の缶に入れました。
……話には聞いていましたが、
自営業の方って、
ああやってお金の出入りを管理してるんですね。
なんだか勉強になっちゃいました。


あの。原稿のお邪魔しちゃいけないので。
私はリビングへ行っていますね?
でも、その前に……。

はい!ココアを淹れましたよ。


どうぞ、お飲みになってください。
疲れた頭には、甘いものっていいますもんね。
えへ……ほんとですか?
良かった……。嬉しいです。


はい。台所お借りしました。
あはっ。先生のおうちにも、
もう何回も来ていますから。
勝手知ったる。ってやつですね!


ううん?
あ、謝らないでください!
こんな風に、デートの予定がお仕事に変わっちゃうのも。
締め切り間に合えー! ってお祈りするのも。
なんだか、作家の恋人……って感じがして。
私は新鮮です。

近所ですし、私はいつでも来られるんですから。
今は私を含めた読者のみなさんのために。
先生の時間をお使いになってください。


それに……私は、格好いいなあって、思ってます。
確かに先生、今ちょっと顔怖いですけど。
お仕事してる姿って、普段は見られないから。
今私、得した気分。ですよ?

第一、先生は今日、お忙しい中、
ホワイトデーのお返しまで
くださったじゃありませんか。
『情けない』なんて、おっしゃらないでください。
先生はとても。ご立派ですよ。


そうそう。
さっきちょっといただいたんですけど、
紅茶クッキー、すごくおいしかったです!
あ、あと見てください。袋を結んでたリボン。
早速かばんに着けてみました……。
どうですか? いい感じですよね!


というか……本当は私のせいですよね?
おととい、急に泊まりにきちゃったから……。

ごめんなさい。
私、本当にそういうのがわからないっていうか。
すぐ暴走しちゃうっていうか……。
先生がすごく優しいから、つい甘えてしまって……。
反省してます……。


あの、でも!
これからは、おっしゃってくださいね?
私。先生に無理はしてほしくないですから……。

だから今日は、おうちで過ごしましょう。
ご飯も私が作りますね。
先生ほど上手じゃないですけど。
シチューの材料、買ってきました。


え!?
『それじゃ申し訳なくて、気が収まらない!』
とおっしゃいますか……。
弱ったなあ……。
えっ。何でもしてくれるんですか。
先生。そういう安請け合いはいけませんよ……。


本当に何でも……いいんですか?


あの。
だったら私。
お仕事終わったら……。
先生が……ほしいです。

はい。おとといも……しましたけど。
今日もいちゃいちゃ、したいです!
だめ……ですか?


え!?
やる気出ましたか!?
それは良かったです!


はい! 私……待ってますから!
リビングでごはん用意して、待っていますからね!

ふふ……5時間半後を待ち遠しく思ってるのは
先生だけじゃないってこと……忘れないでくださいね!