……あ、いたいた。

お疲れー。大丈夫?
ゆずこさんですよー。

んー? 今ね、七時半。
開店までまだだいぶ余裕あるから安心して。


……いや、みなまで言わなくとも大丈夫。
バレンタインのお返しでしょ?
おっ。あとは渡す人リストをチェックしながら、
数と中身を確認するだけ?
……手伝おっか?

……うん、わかった。
アナタはそうおっしゃると思ってましたよ。
じゃあ、終わるまで、ここで見てるね。


ていうかさー、この量!
もうこれ、城倉珈琲店じゃないよね。
城倉スイーツショップだよね。
これだけ作るの、大変だったんじゃない?

しかも、ちゃんと自分一人で全部作るし。
マメっていうか、義理堅いっていうかさ……。
もらった人は嬉しいと思うよ。
『お友達』って前提だとしてもね。


でも、あんたも変わったよね。

昔は目立つの、とにかく嫌がってたし。
仕事外では、人と距離置いてる感じだったのに。
険がとれたっていうか、丸くなったっていうか……。
え、身体もちょっと丸くなった?
あはは、それは気づかなかった!


そんなアナタに、ゆずこさんから、
さらに丸くなるプレゼントです!

はい。ゆずこさんのスペシャル朝ごはんだよ。


えっ何すごいびっくりしてない?
あたしだって。
それくらいできるんですよーだ!

いや……こうなることはわかってたからさ。
あたし、今年はバレンタイン辞退したわけじゃん?
でも、やっぱ完全に何もしないのはさみしーっていうか……。
でもあんた、たぶんあらゆる種類の
お菓子もらってるだろうから……。
何らかの形で独自性を出したかったというか……。


そこで食事ってわけですよ!
ゆずこ特製サンドイッチを食らいやがれ!
ちょうど終わった?
やったー!

じゃあ、そこのテーブルで食べよっか。
あたしの分もあるからさー、一緒に食べようぜ。


では、いただきます!